将来の進路志望に悩む高校生~高校生に人生の「進路」が決められるのか
将来の進路志望に悩む高校生のポストがありました。
当該アカウントの方は「鍵アカウント」にしてしまったので引用はできないのですが、高校1年生で「医学部に行くか、他の学部にいくか悩んでいる」というものでした。
現在の日本の進学大系では、高校を卒業して大学受験をするときに「学部選び」を行うことになります。
「自分が情味があることをやるべきだ」というのは正論ですし、その通りだと思います。
しかし、どれだけの数の高校3年生が「自分のやりたいこと」がはっきり見えているでしょうか。
自分自身を振り返ってみても、高校3年生のときに「自分のやりたいこと」がわかっていたとは思えません。
むしろ「社会にはどんなお仕事があるのか、そのお仕事をするためにはどんな勉強をする必要があり、どんな学校に行く必要があるのか」すらわかっていなかったと思います。
そもそも「大学に行く必要があるのか」というところから考えると自分は何も考えていなかったと思います。
もちろん、僕のようなダメっ子高校生ではなく、「やりたいこと」が明確に決まっている、ビジョンが見えているという高校生も多いと思います。
しかしそれでも「まだ社会のシステムもわからない高校3年生に自分の人生の進路を決めて」というのは基本的に酷な話しだと思っています。
悩む高校生を嗤う大人の滑稽さ
人の悩みを嗤う方
そんな人生を悩む高校生にこんなリポストを付けている方がいました。
「本質が分からないアホ」ってなんでしょう?
「医学部入ってから医者じゃなくて違う職に就きたいとか思ったらどうすんの?」そのときは「とりあえず医学部を卒業して、医師国家資格を取得してから違うことをする」こともできますし、「医学部をやめる」こともできます。
それは当たり前に本人の自由です。
そしてもちろん、学んだ医学の知識はどんな将来にいったとしても必ず役に立ちます。
本当に「例えば」ですが、焼肉屋さんを始めたときに、ウシのお腹のお肉のどの辺りを仕入れれば「ヒレ」が多いのかわかります。
もっとマジメに、感染症の知識はどんな人生でも必ず役に立ちます。
ミソジニーとマンスプレイニング
そもそもこのポスト自体が、「相手が女子高生」とわかったうえでのものでミソジニーとマンスプレイニングを強く感じます。
ミソジニーとマンスプレイニングで発言している方で内容がきちんとしている割合は著しく低いのは皆さん、ご経験の通りだと思います。
そんな僕のポストにリポストをいただきました。
>医学部入ってから弁護士なりたいと思ったらどうすんの?
お勧めは、医学部に通いながら伊藤塾に行って、医学部在学中に司法試験に受かることですね。
学年が上で、医学部の卒試や国試が近いのならば、、もうあと1,2年医学部で勉強して、医師国家資格を取得してから伊藤塾で司法試験に受かることですね。
勉強と「大学」
上のポストで全く分からないのが
>その勉強って他の人は正しい学部に入って勉強してるよね?
という部分です。
「正しい学部」ってなに??
確かに資格によっては定められた大学の学部を卒業しなければ受験すらできないものがあります。
医師や看護師、獣医師などが典型ですね。
でも、例えばこの方が挙げた「弁護士や税理士」になるのに「大学の正しい学部」なんてありません。
自分で独学でやればいいだけです。
そして、例えば法学部に通った方ならご存知だと思いますが、大学の法学部の講義は「資格試験」にはほぼ役立ちません。
このような知識があればこんなポストは書かないはずです。
「他者の人生の選択を無責任に嗤う者こそ笑われる」と強く思います。
>この人は医学部で4年間無駄な勉強して卒業してからもっかい法学部とか入るの?アホ人生じゃん。
どうして医学部で「4年間無駄な勉強をする」と「4年」と決めつけているのか意味不明ですが、まさかこの方は「医学部は4年間で卒業できる」と思っているのでしょうか。
さすがにそんなバカな方ではないと信じたいですが、万が一そうなら失笑を禁じ得ません。
勉強に無駄は無い
>アホ人生じゃん。
末尾のこの部分は失笑を通り越して苦笑ですね。
今どきこんなことを言う時代なのか、と思いますが「勉強、学びに無駄」はありません。
どんな人生を進んでも、どんな進路でも、それまでに勉強したことは必ず役に立ちます。
例えば、大学で数学を学んだ後に、医学部に入って医師になった方がいたら。
大学時代に勉強した「ベイズ統計学」は医師になって感染症対策をするときに必須の知識です。
他者の人生を「アホ人生」という傲慢さ
ポストをもう一度ご紹介します。
どんな人であっても、他者の人生(もちろん、合法なものに限ります)を「アホ人生」ということは傲慢極まりありません。
ここに透けるミソジニーとマンスプレイニングに嫌悪を強く覚えます。